新時代を描くコミュニティ・デザイン活動を実践
『靱公園くらしとみどりネットワーク』

靱公園バラ祭を主催する「靱公園くらしとみどりネットワーク」とは、昭和30年開園の靱公園(大阪市西区)が、開園50周年を迎えたのを契機に結成(2006年2月)された有志市民団体です。“公園を活かした都心の暮らしづくり”を活動テーマに、地元を中心とした公園を愛する市民たちが、公園管理者・区役所の方々と連携し、50周年以降の新たな50年へ向けて、公園を核にした地域づくりや、住民が主役となる公園の運営方法などを一緒に考えていこうと活動を続けています。

「靱公園バラ祭~くらしとみどりフェスタ~」 企画主旨

日々実感!公園のあるまちの幸せ

靱公園一帯は、その昔江戸時代には海産物を取扱う市場として栄え、終戦直後は駐留米軍により物資輸送の小型機用飛行場へと姿を変えました。そして、戦後の混乱が落ち着き始めた頃、連合国から返還された土地を、地元地権者たちの協力もあり、都市公園として整備されることが決まり、昭和30年に「靱公園」として誕生しました。

その後、都心における貴重な都市公園として親しまれ、平成17年(2005)にめでたく満50歳を迎えました。この記念すべき開園半世紀を契機に結成された有志団体「靱公園くらしとみどりネットワーク」は、2006年4月に官民一体となった「50周年イベント」を開催させていただきました。靱公園の半世紀を、暮らし・自然・まちづくりなどについて様々な角度からふり返り、同時に、より大切な新たな50年に向け、靱公園という都市公園の未来への可能性を探りながら、公園のある街の幸せを実感できるまちづくりを考え、実践していこうと思い、私たちなりのメッセージを発信させていただきました。

そして翌年からは、新しい50年への本格的な第一歩を踏み出すことになり、イベントタイトルも靱公園のシンボルであるバラ園にちなんで《靱公園バラ祭~くらしとみどりフェスタ~》と名付けました。以来、「靱公園くらしとみどりネットワーク」の活動テーマである“公園を活かした都心の暮らしづくり”をコンセプトに据え、市民と行政が協働して開催するコミュニティ・イベントとしてこれまでに10年余の歴史を数えています。

コミュニティ・イベントのあるべき姿を常に探り、自主・自立のスピリットを共有する靱公園をこよなく愛する公園ラバーズを核に、界隈の人々をはじめ様々な立場の人たちと一緒になって、都市公園のあるべき未来像、公園のある街の素敵な生活像を様々なイベントを通じて考えていこうと思います。

『春のバラ祭』から『秋のバラ祭』へ

ラの見頃って秋なの?」という疑問の声が聞こえてきそうですが、確かに国内での一番の見頃は陽射しに初夏を感じる5月半ば頃です。「じゃあ、なぜ秋に?」ということですが、靱公園バラ祭(ばらさい)も2017年までは5月に開催していました。2006年から12 年間続けさせていただきました。
始めたきっかけは当時の大阪市役所の公園部局の方から、『靱公園を人の集まる公園にして欲しい』というミッションを受けたことです。もちろん(?!)ボランティアベースの熱い依頼でした。昭和30年(1955)に開園した靱公園が開園50周年を迎える年に託されたミッションでした。
人が来ない靱公園???最近の靱公園しかご存知ない方には信じられないかもしれません。でもそんなに遠い話ではありません。ほんの10 数年ほど前の話です。

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公園のシンボルであるバラ園はイングリッシュガーデン様式で、隣接してクレーコート(赤土)の、それはそれは素敵なセンターコートがありました。鬱蒼とした樹木がそれらを取り囲み、「セントラルパークと“ウインブルドン” がセットになったような公園やなぁ」と散歩をするたびに思ったものでした。
バラ園のなかのベンチはいつも空いていました。
犬を連れて歩く人もめったに目にすることはありません。
冬ともなると公園を訪れる人は指で数えることができるほどでした。
夜間に公園を通り抜ける女子にはかなりの勇気が必要でした。

地元の西区の人口は年々減り続け、喫茶店や文房具屋さん、酒屋さんや写真屋さんなど、昔ながらのお店が次々にシャッターを閉じていきました。夜も7時を過ぎると京町堀界隈でさえ侘しさを感じる街のたたずまいでした。

界隈の不動産物件のチラシには決めごとのように靱公園が表紙を飾り、「小学校の教室が足りない」「保育所、託児所が足りない」などというここ数年来の靱公園界隈事情からは想像も出来ないほど真逆の環境でした。靱公園を“隠れ資産” だと見る人はごくほんの僅かだったと思います。

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春のバラ祭開催へ

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してミッションを受けたボクたちは考えました。当時、まだ世間一般にはパークマネージメントやエリアデザインの概念はおぼろげでしたが、このミッションは最高の実践の場になるはずだと直感しました。

しかし大阪市さんからの依頼とは言え、お金も時間も、周りを見渡してもお手本もない。でもなにか、面白いことが出来きるだろういう予感がありました。

うすると、普段は出会いそうもない仲間が靱公園LOVE の一点だけで集まりだし、靱公園リボーンプロジェクト(靱公園開園50 周年事業)が動き出しました。難しそうな理論は横に置いて、公園は単独で賑わうのではなく、公園を取り巻く町と一体となって互いが賑わうものだという考え方で行動を開始しました。掲げたテーマは「公園を活かした都心の暮らしづくり」住民も、企業に勤める人も、界隈のお店を訪れるお客さんたちも、みんなが公園のある町の幸せを実感できる、そんな公園であり、町でありたい!そう願って靱公園バラ祭は始まりました。

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クたちの希望的予測は最初の年から手応えを感じました。来場者が2 万人を超えた3年目(2008)あたりからは公園に漂いはじめた新しい風とともに街の雰囲気も変化してきました。京町堀通りには、公園の緑に吸い寄せられるようにお洒落な洋服店や美容室、雑貨店や飲食店が次々とオープンし、西区の人口減少は底を打ち、瞬く間に上昇に転じ始めました。(スイマセン。長話になりますがもう少しお付き合いください)

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してバラ祭も5回、6回と続くうちに入場者は少なく見積もっても4万人を超え、同時期に週刊誌が特集した「住みたい町関西圏ベスト10」で京町堀が1位にランクされ、これでもうボク自身は当初のミッションは充分に果たすことができたな、と思いました。もうそろそろ終わらせてもらってもいいのかな、と。この間、地元の区役所さんはじめ協賛企業さんや出店者の皆さんたち、メンバーの友人・知人、ほんとうに多くの方々にいっぱいの応援をいただきました。

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さか10年以上も続けることになるとは思ってもみないことでした。今では一年中公園は賑わいをみせ、界隈も市内有数の人気エリアとして定着したこともあり、このあたりで一度ピリオドをうつ頃だとメンバー全員が納得し、2017 年をラストバラ祭にさせていただきました。ボクたちの靱公園LOVE はまた新しいカタチで活動しよう、と。メンバー全員が自らの課外活動として取り組み、手弁当で続けるなか12年間、あれだけの規模のイベントを一度の事故もトラブルもなく幕を降ろせたことはボクたちにとっての小さな誇りです。

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翌2018年、「秋のバラ祭」スタート!!

由はこうです。春のバラ祭を続けるうちに、靱公園の認知度は飛躍的に広まりましたが、この靱公園が若手テニスプレイヤーにとっての聖地だということはあまり知られていません。ましてや毎年10 月に『スーパージュニア』という国際テニス大会が開催されていることは残念ながらまだまだごく一部の人たちにしか知られていません。大阪市で唯一毎年開催されている国際スポーツ大会であり、20 年以上も続けられているにも関わらずです。大会の正式名称は「大阪市長杯世界スーパージュニアテニス」。国際テニス連盟公認の世界ジュニアサーキット<グレードA>のピッカピカの大会です。この大会に出場し、数年後にはグランドスラムの舞台で活躍する世界各国のテニスジュニアたちが秋の靱公園にやって来るのです。錦織圭選手もそのひとりでした。

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会を運営されている関西テニス協会さんもこれまでのバラ祭仲間です。だったら、この素晴らしい大会を全力で応援しよう!ボクたち流の応援をしよう!とは言っても、じゃあどんなカタチで応援するの?2018年春。メンバー招集です。いくつかの課題が挙げられました。先ずは地元で圧倒的に知ってもらうこと。テニスを知らなくても自分なりの応援ができること。楽しく応援ができること。海外の選手にも公園のある町の幸せを感じてもらうこと、などなど。全員の答えはすぐに出ました。「春のバラ祭をテニスと一緒に秋にしたらええやん」「そうや、秋バラや!」実は秋の10月も5月についで2番目のバラの見頃なんです。

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うして2018 年からは『春のバラ祭』を衣替えして《ビッグウエルカム・スーパージュニア》を合言葉に『秋のバラ祭』を開催させていただくことになりました。ボクたちのメンバーには、テニス経験者もテニスに詳しい人間もいません。でも、世界各地から、日本各地から靱公園にやって来るジュニア選手たちをもてなしする心だけは<グレードA>レベルだと自負できます。皆さんと一緒に、テニス色に染まった秋の靱公園を楽しみたいと願ってます!

2019年早春
靱公園くらしとみどりネットワーク代表 前波 豊

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